【体験談】3年間の社会人大学院生活を振り返って、メリット・デメリットを改めて考えてみた
\この記事はこんな人にオススメ!!/
自分のキャリアを考えて大学院に通ってみたいけど、実際どんな感じなのか知りたい人
働きながら大学院へ行くことについて良い面だけでなく、悪い面も知りたい人
社会人の大学院生活のリアルな実態を知りたい人
「働きながら大学院へ行ってみたいが、
良かったことだけ書いている人が多く、
実態がよくわからない」
「他の人の社会人大学院生活が
どんな感じなのか知りたい」
など思うことはありませんか?
私は2021年4月から科目等履修生として、
2022年4月〜2024年3月までは正規学生として、
働きながら大学院へ通っていました。
この記事では、
私の大学院生活を振り返って
入学時の目的が達成されたのか、
メリット・デメリット、
今思うことなどを解説していきます。
この記事を通じて
私の経験が1つの事例として
社会人大学院に通おうと思っている方、
すでに通っている方にとって
少しでも参考になったら幸いです。
【評価】入学時の目的は達成できたのか?
入学時に考えていた目的は
下記のように主に3つありました。
今回は、修了後にそれぞれの目的が達成されたのか、
星の数で評価してみました。
番号 | 項目 | 評価 |
---|---|---|
1 | 知識を増やすことはできたのか? | |
2 | 職業人として専門性を高めることはできたのか? | |
3 | 人脈を増やすことはできたのか? |
次の項目でなぜこの評価を選んだのか、
それぞれ振り返っていきます。
【項目】知識を増やすことはできたのか?
星4つを選んだ理由としては、
授業でその分野の専門の先生から色んなことを学んだ、
課題や研究を通じて多くの文献や書籍などを読んだので
大学院へ通う前と比較したときに
圧倒的に知識量が増えたと感じたためです。
文献や書籍を読めていない分野も
まだまだありますが、
何かを知りたいと思ったときに
どう行動すれば良いのかなどが身についたので
高めの評価にしています。
星が5にならなかった理由としては
3年間大学院を通うだけでは
まだまだ知らないことはあるので
知識量は増えたが、まだ満足できるほどではないとのことで
この評価になりました。
【項目】職業人として専門性を高めることはできたのか?
人文学研究というものがどういうものか理解していなかった、
正規学生としての2年間という短い時間の中で
上手く研究を進めることができなかったので
自分の職業人としての専門性が高まったとは言えない
と判断し、星2にしています。
今回私が進学したのはMBAなどの専門職大学院ではなく、
文系の研究系の大学院です。
通う人の仕事内容にもよりますが、
私は研究職ではなく、
企業で全社の取り組みを推進する仕事をしています。
もちろん大学院での行われている人文学系の研究達が
私の仕事に関係しないわけではありません。
しかし、企業人としての仕事に対するスタンスと
人文学系の研究のスタンスは違うと思うので
なんとも言えない部分がありました。
⬛︎私なりの企業人としての仕事と人文学研究の違いの解釈
- 企業人としての仕事:
未来志向で目の前の課題などに対してどうしたら良いかを考えて行動し、価値を生み出す - 人文学系の研究:
現在起きていることや過去の事例を研究対象とし、新しい”知”を生み出すことで価値を生み出す
社会を意識した行動をするという点では同じだと思いますが
研究は”知”を生産することに重きを置いており、
仕事は”知”を持って取り組みを進めて
課題を解決することに重きを置いていると思います。
(もちろん仕事でも
知を生み出すことがあると思いますが
研究所などでない限り、
それ自体が仕事の第一の目的になることはないと思います)
正直伝えたいことが
うまく表現できている自信はありませんが
私はどのように取り組みを進めれば良いのか?
という方に関心が高く、
研究によってもたらされた“知“には興味がありましたが
自分自身が“知”を生み出すことには
そこまで興味・関心が持てず、
“知”を生み出す能力も備えていませんでした。
この記事で書いている
職業人としての専門性とは
仕事をもっと前に進めるために必要な能力です。
もちろん研究においても
学問分野での知識・研究手法などの知識、
研究全体をデザインする能力、問いを見つける能力、
問いに対する仮説を立てる能力、仮説を検証する能力、
研究を経て導き出された結果を考察する能力、
期限までに研究を完成させるマネジメント力など
様々なことが求められます。
これらは仕事においても
同様に求められる能力だと思います。
しかし私に至っては
元々課題に感じていることが
そこまであったわけではなかったので
問いの設定が難しく、
やってみたいと思いついた研究があったとしても
2年という正規学生の大学院生活を考えたら
時間・能力・私自身のキャパオーバーということで
うまく研究を進めることはできませんでした。
他の大学院生の方も
入学当初から知識があるわけではないと思います。
授業と並行しながら頑張って
研究がどういうものなのかを理解して
修論の完成に向けて取り組んでいると思うので
これは大学院生全員に共通するものではなく
私自身の問題だったと思います。
入学当初に思い描いていた姿には
程遠い形で修了することになったので
とても心残りです。
人脈を増やすことはできたのか?
星1.5の理由として
顔見知りの方は増えましたが、
プライベートで連絡するほどの仲の人は
できませんでした。
在籍していた方の中に
20代後半〜30代半ばの方がほとんどいなかった
ということも理由に挙げられると思います。
人脈を増やすことはできませんでしたが
色々な職種・経歴の方が来ていたので
会社員という仕事に囚われたり
こうしないといけないという価値観に縛られずに
自由に生きて良いんだなと勇気をもらうことはできました。
社会人大学院生活で感じたメリット
働きながら大学院へ通う中で感じたメリットは大きく分けて、3つあります。
- 知識を増やすという当初の目的が達成できた
- 勉強時間が増えた
- 学ぶということに対する意識が変わった
知識を増やすという当初の目的が達成できた
上の方の章でも書きましたが、
これは入学前に狙った効果があったと思いました。
おそらく仕事のみしていたら
仕事でピンポイントで扱っている事柄にしか
興味を持たなかったと思います。
大学院での経験を経て、
興味を持つ範囲が広がって
自分で書籍などを読む機会が増えました。
勉強時間が増えた
大学院修了後に自宅で本を読んでいた時に
ふと思ったことです。
私は社会人として働いているので
平日は8時間以上は時間的な拘束を受けています。
大学院に通っているときは
仕事の時間にプラスして
平日夕方以降、土曜日日中は
授業で時間的な拘束を受けていました。
最近まとまった勉強時間を確保することは
難しいと感じることが多いので
大学院によって時間的な拘束を受けることが
結果として自分のためになっていたんだなと思いました。
学ぶということに対する意識が変わった
これは意識が変わったというよりも
もっと深く考えるようになったという方が良いのかもしれません。
大学院では、
学術分野における研究論文を読むことが多かったです。
研究論文は日々研究者によって発表されており、
増え続けています。
そのため、今持っている知識は劣化していくので
情報を常にインプットし続けないとと感じました。
また、大学院の授業で
修士課程を修了し、他大の博士課程に進んでいる女性に
出会いました。
この女性について詳しくは書きませんが、
仕事の経歴がすごく、新聞にも寄稿をするような方です。
その方のお話を聞いていた時に
正直今のままでも経歴も素晴らしく、
労働市場でも専門性が高い人材だと判断される位置にいる
にも関わらず、
子育てをしながら博士課程に進んで
学会で論文発表されていると伺って
こういった方が頑張っているんだから
自分も頑張らないとと思いました。
おそらく日々努力をされているから
現在の彼女があると思うし、
誰にでもできることではないのは百も承知ですが
一社会人として
能力が高い人が能力を伸ばし続けて仕事で結果出してたら
一生追いつくことはないと危機感を覚えました。
本当に彼女と私ではベースラインが全く違うので追いつくことはこの先ないと思いますが、それでも自分なりに頑張ろうと勇気をもらいました。
社会人大学院生活で感じたデメリット
社会人大学院生活で感じたデメリットは大きく3つあります。
- 心の余裕がなくなった
- 健康を損なった
- 交友関係などが減った
色々と何かが一時的になくなりました(笑)
心の余裕がなくなった
大学院に通ってる時はあまり思わなかったのですが
修了通知が来てから緊張が解けたのがわかりました。
大学院に通っているときは
常に何かに追われており、
些細なことにイライラしたり
ピリピリしていたように感じます。
実際、家で神経質になっており
主人に対してイライラすることもありましたが
大学院が修了してからは一切無くなりました。
今思うと大学院が原因だったんだなと思います。(旦那よ、ごめんね)
健康を損なった
健康を損なったと感じたことが4回ありました。
1回目は大学院1年生の前期の5〜6月頃に
GWに引っ越しをして生活が大きく変わったこともあり、
ふらふらして動けなくなってしまいました。
この時は何も考えられなくて
部屋の一点を見つめてぼーっとしてたいな
と思っていた記憶があります(笑)
今思うと、やばいですね。
この時は特に病院には行かず
急遽仕事をお休みしてずっと寝てました。
2回目は、大学院1年生の後期に
授業が忙しく夕食をおそろかにしていたら
気づいたら白髪が増えていました。
白髪は1度できると黒くなることはないので
増えないようにそこからは気をつけてはいますが
失ったものは戻らないですね…。
3回目は、
私のゼミは指導教員による指導や輪講などが一切無く
挙げ句の果てに音信不通になった時期があったのですが
あまりのストレスで生理が来なくなりました。
まあ、課題が忙しい時期が重なったというのもありますが
ストレス過多により起きたことだと思います。
病院に行って薬を飲んだことによって
症状は改善されたので
今は問題ないと思いますが
女性は要注意です。
4回目は、
修論を書いている時期に
おそらくストレスだったからなのか
胃痛で動けなくなりました。
梅雨時期は湿度が高いので
胃にとってはあまり良い季節ではないのですが
今までこのようになったことはなかったので
ストレスがあったからでは?
と推測しています。
病気だったら怖かったので
念のため胃カメラもやりましたが、
担当の先生からは
綺麗な胃ですね〜と言われ、
今は元気に過ごしています。
<余談>
ピロリ菌が胃にいると
荒れる場合があるようなので
胃痛がある方は
早めに検査に行くことをオススメします。
体調に関しては個人差が大きいと思うので、あまり恐れなくていいと思います!
家族や友人との時間が減った
課題や修論に取り組んでいると
どうしても時間が足りなくて
飲み会を欠席せざる得ないということがありました。
旦那と一緒に住んでいますが、
土日も課題があるからといって
家にいることが多く
遠出や旅行に行くことはできませんでした。
大学院に行く前に
他人がしていないことをするのであれば
他人と同じように過ごすことは難しいというのは
頭で理解していたつもりです。
しかし友人に対する
せっかく誘ってもらったのに…という気持ちや
旦那に対して
一緒に家にいても楽しい時間を提供できない申し訳なさ
を感じていました。
友達には入学時点で大学院へ行くことは報告していたので、飲み会に行けなくても事情は理解してくれており、今も定期的に会ったりと関係は続いています。
社会人大学院と仕事
行かないよりは行ったほうが良かったと思う。
でも、
大学院へ行かずに
転職でコンサルなどに行って
仕事で経験を積んだら
違う未来もあったのかなと思ったりもします。
今は転職して
大学院入学前よりは前進できていると思うので
よしとします。
大学院を修了したら、もう少し30代のワークキャリアが明確になったり、悩むことも減るかと思いましたが、全くそんなことはありませんでした。(今も絶賛悩んでいます)
社会人大学院と私のこれから
社会人大学院での経験を経て
自分の無知さ・能力の低さを痛感したので
30代は
・できないこと
・やらないといけないこと
・やったらプラスになりそうなこと
の3つに対して
どのように優先順位をつけて取り組んでいくのか
を考えて計画的にやっていかないといけない
と感じています。
社会人大学院に対する気持ち
正直やり切ったという感情はありません。
大学院生活を通じてもっと得られるものがあったはずだ
という気持ちでいっぱいです。
でも、当時の自分の体力などのキャパシティを考えると
これが精一杯やった結果だと思います。
うーん、それでもやっぱり悔しいですね。
時間や金銭的にチャンスがあったら
いつかリベンジしたいと気もしますが
大学院以前に社会人としてやるべきことが多いので
今は目の前のことを頑張りたいと思います。
最後に
当時のことを振り返りながら
まとめてみました。
私の社会人大学院生活は
悔しい結果に終わったと感じていますが、
そのまま何もやらないで会社で働き続けるよりは
行動した方が良かったと言えます。
大学院に行けば、
働くことに関する悩みなどが全て解決するわけではないです。
新たな課題が見つかったという点で
進学して良かったと思いますが
働き続けるのであれば
悩みが尽きることはないのだなと実感しました。
メリット・デメリット、
どちらもありましたが
社会人として働きながら
大学院へ行くことを悩まれている方がいらっしゃったら
まずは科目等履修生として
行ってみてもいいのでは?と思います。
この記事が少しでも
皆様の役に立ったら嬉しいです
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。